塾講師あれこれ

私は都合7年間、塾講師として働いてきました。とはいえ個別指導塾ですので、相変わらず大人数の前で話をするのは苦手なままですが。7年も働いていると色んな生徒を見る機会があります。生徒の方で自分はどこが出来ていないかを把握していて的確な質問をしてくる優秀な生徒もいれば、そもそも自分が何がわかっていないのか分かっていない生徒もいました。3年生の夏になって期末テストの得点が1ケタで、慌てて塾に来る生徒もいました。

生徒が多岐に富んでいる個別指導塾ですが、その生徒を迎え撃つ?講師も多彩な顔ぶれが揃っているものです。基本的には大学生のアルバイトが中心になるわけですが、一口に大学といっても様々です。私は早稲田でしたが、どこの教室に行っても早稲田は1人2人はいましたね。一般組は大学受験、内部組は中学受験か高校受験で勝ち抜いているわけですから、塾にしてみれば戦力として計算が立てやすいのでしょう。

数的に最も充実していたのはG-MARCHから日東駒専あたりの人たちでした。これより上の早慶や国立大レベルになると、より良い給料を求めて家庭教師や集団塾に流れる人が多いことが理由だと思われます。早慶や東大の学生で来るのは、私のように気楽にやりたい人くらいだと思いますね。

ところで、生徒のウケの良い塾講師はどんな先生でしょうか?まず第一に話の面白い講師。これは鉄板です。私は僭越ながらここを目指していたので、テレビで色々な漫才や古典落語を見て喋り方の参考にしたりしていました。中高生の多くはストレートで力のある笑いを好むようで、他人の悪口などは基本的にはウケないものです。大学やネットに張り付いていると、ついそういう方向で笑いを取りたくなりますが、教育者という立場にある場面ではこの種の笑いは禁じ手です。私も塾では絶対に使いませんでした。

次に知識が豊富な先生もウケが良いです。ここでも勘違いしてはならないのは、知識とは学術的知識のことではありません。勿論テレビや芸能の知識でもないです。一般に雑学や教養と称される知識(例えば魚や鉄道に関するウンチクや土地に関する知識)のことを指します。経団連の偉い人たちが「無駄だから大学教育から削れ」と主張するタイプの知識ですね。

このブログを読んでいる方の中に今まだ塾講師をされている方がいるかは知りませんが、生徒にウケの良い授業をするためにオススメのテレビ番組がいくつかあります。まずは『笑点』。完成された古典ジョークの集大成です。次に『ブラタモリ』。タモリさんの持っている薀蓄には基本的にハズレがありません。それから『ぶっちゃけ寺』。比較的最近の番組ですが、お坊さんの知識量は尋常ではないのでとても参考になります。あとは池上彰さんの解説系番組はどれも参考になるので、暇な時にぼーっと観るだけでも良いと思います。

個別指導塾は「教えてやる」という意識で授業をすると講師も面倒くさいですし生徒も聞きたくありません。生徒を相手にトークショーをやる気分というか落語の高座に上がったような感覚で、笑いを挟んでいくと生徒も聞いてくれますし講師も楽しくなってくるので、もし講師をやっている方がいたら是非試してみてください。