SSのような何か

なんか思いついたやつ

飲み屋で大学時代の友人と酒を飲んでいた。友人の名は西東(さいとう)といい、北陸地方の出身であった。 「そういえばお前の親戚の娘さあ、彩果ちゃんだっけ?こっちの大学入ったんだよね?元気にしてる?」 「入院してるよ」 「入院…」 思いがけない単語が…

第44話

新年度は最初からバタバタとしている。ケツホモシンパの残党に不穏な動きがあると通告してきたのは警察のいわゆる公安のような機関であった。 「不穏な動きって言われてもなあ…こっちから探してどうにか出来るもんでもないしなぁ。島やんどうする?」 と米長…

第43話

3月も気が付けば終盤である。「1月は逝く、2月は逃げる、3月は去る」とはよく言ったもので、この時期はとかく多忙でいつの間にか新しい年度が目前まで迫っているものである。 「スギ林を日本から叩き出せ~!」 神木田さんの謎のシュプレヒコールがこだます…

第42話

事あるごとに事件の舞台として描かれる新宿副都心。過去に多くのアニメで、ゲームで、映画で、常に舞台として用いられてきたこの街だが、実際に大きな騒動が発生したことはそれほど多くない。最大級の事件は昭和59年のゴジラ襲来(後に特生自衛隊における対…

第41話

新宿支署チームの威信をかけた技能選手権は、宮前さんの機転と熊谷さんの正確な魔法制御、白崎さんのスタミナもあって無事優勝することができた。今回のレギュレーションでは標的が絶縁シートを被ったドローンであり、宮前さんの電撃で撃ち落すという基本的…

場外戦3

東京・練馬にある特生自衛隊本部ビルに、緊張した声のアナウンスが鳴り響く。 「立花特将補、至急6階の第619会議室までお越しください」 1階の休憩スペースで南関東第2大隊長の権堂特佐、その部下の吉田一等特尉らと話をしていた私は、そのアナウンスを聞い…

第40話

青梅市は東京都のやや端っこの方にある街だ。周囲を山に囲まれた町で、綺麗な水が得られる立地故に昔から酒造が行われている。新宿支署からは電車で一本だが、今日の大会会場は青梅駅からさらに奥に進んだところにあるため、青梅から奥多摩行きに乗り換えな…

場外戦とも二次創作ともつかない謎の話

これから書くヤツは弊ブログでいつも書いてる謎の創作文書の昔的な話なんですが、都合により一部の登場人物の名前をアイ○ルマス○ーシンデ○ラガー○ズから流用していますので、書く前に謝っておきます。名前だけで性格とかまるで原型をとどめていないが許して…

第39話

年が変わっても、年度が変わるまでは3か月ばかりタイムラグがある。誰が決めたのかは知らないが、少なくとも日本では昔からずっとこのルールが採用されているのである。特に我々の勤める官庁では。 正月の連休が明け、出勤すると皆ぼ~っとしている。 「いや…

第38話

「あ~寒い。こういう馬鹿みたいに寒い日はアルコールを摂取して体内の燃焼効率を上げないと仕事にならないナア」 私に聞こえるよう大声で言いながらデスクで堂々と飲酒している坂上である。そんなに飲みたきゃ工業用アルコールでも飲んでろ、と言いたいとこ…

場外戦1

特生自衛隊の歴史は長い。半世紀ほど前に自衛隊が発足した当初は陸・海・空の3軍から構成されていたが、発足から間もなく首都圏を襲った巨大生物災害を機に有害な特殊生物の駆除を目的に設立されたのが特生自衛隊である。 で、私はその特生自衛隊に所属する…

第37話

年末年始に向けて街の浮かれ具合が加速度的に高くなってゆく季節。浮かれたアホどもに釣られて有象無象の妖怪だの物の怪だのといった連中が街に出没することが多くなるので、私達の職場はこの季節はとても忙しい。街にいるのは化け狸先輩のように酒を飲んで…

第36話

都内の繁華街に近いにもかかわらず来客のあまりない新宿支署であるが、この日は来客があった。警察庁の特殊部隊を率いる一條警視である。過去に次元間ワームホールが発生したり巨大生物が出たりする度に顔を合わせた間柄であり、調整課を通さず話せる警察サ…

第35話

今年の東京は秋というものを亡失してしまったらしく、まだ師走の商戦も始まらぬ内に初雪を観測した。朝出勤すると、葵ちゃんがせっせと署内のオフィス機器を立ち上げていた。先日の体調不良の件を私は大いに心配していたが、どうやら葵ちゃんのコンディショ…

第34話

「ずん…ずんずん…ずんだ餅」 朝出勤してくると、妙な鼻歌が室内から聞こえてきた。何事かと思って入室するとデスクがずんだ餅だらけになっていた。その奥では宮前姉妹が物凄い勢いでずんだ餅を捏ねていた。 「えぇ…」 私も困惑するしかない。熊谷さんも洲本…

第33話

秋も終わりが近づき、我らが新宿支署でもようやく暖房の運転が始まった。国からは節電方針などというバカげたお触れが出ており、暖房も必要最小限の運転をするように、とのことだったが米長コマンダーの「うるせえ」の一言で普通に暖房運転できるようになっ…

第32話

私が出張で横浜へ出向いていた所に電話が入ったのは、ちょうど用件を済ませて帰ろうとしている時であった。電話の主は一之江さんであった。番号教えたことあったかな?と思ったが、マメな性格の神木田さんがデスクに電話番号のメモを貼っていたことを思い出…

第31話

今年に入ってから急激に個体数が増加した妖怪、詰云。その発生のメカニズムは、実はまだよくわかっていない。当初は人間の女性が変異しているという物騒な説もあったのだが、失踪した人間女性よりも詰云発生数の方が明らかに多いので現在この説は否定されて…

第30話

先日のガサ入れの時に、私はうっかり杖を破損させてしまっていた。榎谷と魔法の撃ち合いになった際のオーバーワークが原因だろうか?修復で何とかなると思っていたのだが、魔法用具に詳しい宮前さんに見せたら「中が折れてるので無理です。買いなおしてくだ…

第29話

「実習生を受け入れてほしい」 八王子にある魔法学校から新宿支署へそのような要請が来たのは、今年が初めてであった。それは魔法学校が科特庁の管轄下に入り、旧来の指導者層の入れ替えが完了した証左でもあった。 魔法学校は元々魔法庁の権益の象徴のよう…

第28話

大手町にある科特庁の本庁ビル。高層ビルと呼んで差し支えないその建物内の会議室に、東京都内の各支署から招集された男達が集まっていた。新宿支署からは私の他に豊之内・第1係長と秋山・第3係長。北支署からはいつもの土方署長補佐と中須田謙介・第1係長の…

第27話

秋も本格化してくると、飲み会の様相も変貌してゆく。冷奴や刺身を肴にビールをバカスカ飲むサマースタイルは鳴りを潜め、おでんなどが卓を彩るようになるのである。 そんな秋本番の金曜日の夕方。高田馬場の片隅にある居酒屋では、新宿支署女子会なる恐怖の…

第26話

食欲の秋。ようやく夏の暑さに陰りが見え、執拗な秋雨も切れ目の見えてきたある日の夜。私は同期入庁の面々と池袋の居酒屋に繰り出し、飲み会のような食事会のような集まりを繰り広げていた。私は地方の町役場からの転職組であったが、当時の科特隊は科学部…

第25話

予言者の類は、狂人か本物かを判別するのが極めて難しい。鬼の真贋は素人でもわかるだろう。立派な角の有無で一目瞭然だ。狐娘にしたって、本物は耳が二つである。 翻って予言者は、傍から見れば人間である。そして予言者を自称する単なる狂人と外見上の相違…

第24話

依水初海と瀧貴樹の両人が支署を訪ねてきたのは、先日の宇宙怪獣の事件から1か月あまりが過ぎた頃だった。特生自衛隊(と銀色の巨人)の活躍によって宇宙怪獣の撃退には成功したものの、龍ヶ守町はメチャクチャになってしまい、住民の帰還は困難な状況であっ…

第23話

龍ヶ守町から戻ってきてから数日間、私はまともに仕事ができる状態ではなかった。大規模な魔法を最大出力で撃った反動は思っていたよりも大きく、仕方なく私は職場のデスクに座ってじっとしている日々を送っていた。葵ちゃんが私の膝の上に乗ってきて、甘え…

第22話

龍ヶ守町は思いのほか遠かった。岐阜県内には岡田先輩の高山支署の他に大垣支署があり、名古屋の東海方面本部・豊川支署・四日市支署・賢島支署・熱海支署・駿府支署および浜松支署とともに東海方面部を構成している。高山支署は東海方面部では一番西北端に…

第21話

今年度の変わり目に本庁へ異動した神楽坂だが、自宅が新宿区内にあるため新宿支署へはちょくちょく顔を出していた。去年までの新宿支署の第1係長であり、現在は本庁勤務の統括係長となった彼は、この日も新宿支署へお茶を飲みに来て私達と他愛のない雑談をし…

第20話

「負傷した犬娘が運び込まれてきた」 科特庁の系列に属する中野区の病院から一報が入ったので、私はちょうど近くでの実調作業を終えたところだった秋山係長とホリ隊員に、その犬娘を新宿支署へ護送するよう指示をとばした。 犬娘。狐娘と同じく半人半妖の種…

第19話

定時を過ぎ、多くの職員が退庁した夜の新宿支署。その宿直室では、宿直担当のメンバーがワイワイやっていた。 「みなさん、今日も如如云と質糟の討伐お疲れさまでした。相変わらず臭くて汚い連中でしたけど、ああいうのをのさばらせないのが私達の使命でもあ…