雑記49

プロ野球のレギュラーシーズンが開幕しました。ここ数年はホークスは開幕当初に調子を上げきれずファンをイライラさせる展開が続いていましたが、今年は珍しく開幕カード3連勝スタートを飾りました。内容的にはぶっちゃけ危ない試合が多く、相手のミスも絡んで勝ちを拾った感もあります。それでも涌井・唐川というホークスにとって厄介きわまりない投手に土を付けられたのは大きいですね。

まず開幕戦。和田はオープン戦から球のキレ、制球とも盤石の仕上がり。序盤~中盤は両チームとも決め手を欠き、ボディーブローを撃ち合うような展開でした。涌井のツーシームが物凄い動いていて驚きました。NPB球はツーシームの曲がりが悪いという話ですが、投げ方次第では動くようですね。

2戦目は中田が予想外の好投。元々スピード以上に球威があるので、安定してストライクゾーンに投げられれば勝てる投手です。四球からの自滅癖も顔を出さず、7イニングをスイスイと投げ切りました。得点に関してはほぼロッテのミスによる得点なので、まだ打線については楽観視できない部分もあります。

3戦目は途中までは完全にホークスのペースでしたが、5回あたりから東浜が打たれだしました。打たれるのは運の要素もありますが、5回6回といずれも無駄な四球が失点に絡んだ所は猛省してほしいですね。甲斐とバッテリーを組んで経験不足だった部分はあるので連打は仕方ないにしても、四球はいけません。

3連戦を見ていて感じたのはロッテの守備力の低下、特に外野守備の劣化は気になりました。角中・岡田・荻野はいずれも捕ってからの返球が悪く、それによってホークスが得点を奪う(というより点が転がり込む)シーンが少なからず見られました。まあ清田が本調子になり加藤・細谷が上がってくればそのあたりは改善されるでしょうし、そうなればロッテはホークスにとって脅威となるでしょう。

打者陣に関しては何とも評価しづらい感じですね。内川・デスパイネは流石にWBC明けなので身体が動いてます。正直、私はデスパイネ不要論者でしたが、多分デスパイネがロッテにいたらホークスは負け越していたと思います。そういう意味ではいい補強だったかもしれません。

松田はまだちょっと本調子じゃないですね。いい当たりはしていますが、調子のバロメーターの右中間方向の長打が出ていません。ちょっと引っ張りにかかってるかな?本多は綺麗なセンター前もあればクソみたいな早打ちポップフライもあり平常運転。今宮は今日の打撃を見るに調子が上がってきているかもしれません。柳田はよくわかりません。まあ打球が上がり出せば大丈夫だと思います、ちゃんと振れているので。

この3連戦で一番の収穫は上林ですね。高校時代にワンバウンドの球をヒットにしたことから俊足、巧打のイメージが強かったのですが、どうも長距離砲タイプのようです。とにかく打球に角度をつける技術が素晴らしい。これは天性のもので、練習しても中々身に付かないものらしいので、このまま下位打線で気楽に打たせてホームランバッターとして開花して欲しい所です。

リリーフは軒並み好調ですが岩嵜がちょっと打ち込まれたのは気になる所ですね。直球が走っていない時に組み立ての軸に出来る変化球、カーブでもスライダーでもいいので上手く使えるようになって欲しいですね。あのサファテですら直球のかかりが悪い時はナックルカーブでカウントを整えていますから、現代野球で直球とフォークのみというのは厳しいでしょう。

火曜日からは仙台で楽天3連戦。この時期の楽天戦、寒い打球が飛ばないマウンドが緩いと悪いことずくめなので、とにかく怪我人だけは出さないように頑張って欲しい所です。相手の先発は多分岸・則本あたりの主戦投手が来るので、とにかく無駄な四球でズルズルと失点を重ねないことが重要でしょう。

おわり

 

第43話

3月も気が付けば終盤である。「1月は逝く、2月は逃げる、3月は去る」とはよく言ったもので、この時期はとかく多忙でいつの間にか新しい年度が目前まで迫っているものである。

「スギ林を日本から叩き出せ~!」

神木田さんの謎のシュプレヒコールがこだまする。原因は言うに及ばず。花粉症の猛威の前には普通の人間も魔法使いも等しく鼻を詰まらせ、目の痒みに悩まされるのだ。かくいう私も花粉症の影響からは逃れられず、抗アレルギー剤が手放せない日々を送っているのだが。

それはさておき、人事異動の内示が正式に発表されるのがこの時期である。新宿支署を離れる面々は既に内々に通達を受けていたので、特に驚くようなことはなかった。私は神楽坂を通じて本庁に異動の再考を依頼していたが、残念ながら一介の統括係長の意向では変更には至らなかった。

事前に通知のあった秋山係長(→関西方面本部)、洲本さん(→世田谷支署)、ホリ隊員(→G5統合作戦部)は転勤に備えてデスク周りの整理を進めている。

「おい島やん、俺は今から今度異動でウチに来る職員と面談だからな。今日の業務はヨロシクゥ」

とだけ言い残した米長コマンダー、さっさと会議室へ入ってしまった。

新宿支署は以前にも述べた通り、次年度から組織構成が変わるため職員数は増加することになる。必然、3人転出すれば4人以上転入してくるというわけだ。既に名簿で確認できているのは4人。そして(新採)としか記載されていない枠が3名分あるが、宮前さんの妹の詩織ちゃんと狐娘の葵ちゃんは内定しているので、全くの新人は一人しか来ないのである。

名簿で確認できる面子の一人目は言うまでもなく神楽坂庭夫課長である(4月1日付で統括係長から昇任)。2年ぶりに新宿支署に復帰するこの男については多くの説明は必要ないだろう。

二人目は北支署から秋吉亮統括係長。本来は世田谷支署に転任する予定だったが、秋山係長を強奪された補償として?新宿支署へ来ることになった。その際に課長ではなく統括係長のままであり様々な憶測を呼んだ。6級職=課長への昇任面接で人事部長を殴って昇任選考で落ちたというウワサもあったが、これは本人が否定している。4月からは秋山係長の後任として第2係長を務め、統括係長として署内の庶務担当も兼任することになる。4月から同じ統括職に昇任する豊之内と共に実動部隊のまとめ役として期待したい。

三人目はルーク・ブラトベック主事、どう見ても外国人のような名前だが親の代から帰化しており、れっきとした日本人である。決して自分を欧米人だと思っている異常者の類ではない。白人っぽい顔立ちの22歳の男で、先祖はカリフォルニアのオレンジ農家だったらしい。ちなみに実家は小田原の方のミカン農家である。新採後は広報部にいたのだが、内勤に飽きてこっちへの異動を希望したらしい。女性恐怖症との噂もあるが、果たして女性隊員の多いこの支署でやっていけるのだろうか?

それから以前の洲本さん異動の時に実質的にトレードのような形で転入の決まっていた藤岡富士夫主事である。戦鬼『吹雪鬼』の名跡を持つ彼を加え、新宿支署は関東で最多の戦鬼を抱えることになった。これならG5部隊なしでもどうにかなるかもしれない。まあ必要になったら容赦なく出動要請するのだが。

人事の打ち合わせを終え、私は歌舞伎町の飲み屋へ繰り出した。特生自衛隊の権堂一佐らと飲み会を企画していたのである。飲み会の席で怪獣や怪物への愚痴をこぼしているのは、多分日本では特自隊員か科特庁職員くらいだろう。特自では来期は装備の大規模改修でかなり忙しくなるらしい。

「いよいよスーパーXの後継機導入にゴーサインが出ましてね」

と権堂一佐。確かにスーパーXは1号機の機齢が30年を超えており、最新機であるX3でさえロールアウトから20年以上が経過している。定期的な改修更新を行っているとはいえ、対怪獣防衛の最後の砦が老朽機材では不安である。

「それは結構なことです。建造は篠原重工業ですか?」

篠原重工は国内の特殊メカニック最大手企業の一つである。警察に多用途ロボット『パトレイバー』シリーズを納入していることで有名であるが、スーパーX系列を筆頭に特生自衛隊の装備品供給にも昔から参加している。国内では他にG5ユニットの製造を請け負っているスマートブレイン社があり、特殊メカニック企業としては篠原重工と双璧をなしている。なお近年では鴻上ファウンデーションがシェアを伸ばしており、三つ巴に変化しつつある。

「今回は分担生産だそうです。機体の大枠はAEジャパン、エンジンは篠原重工、操縦補助ソフトは鴻上、武装はスマートブレイン、最終的な艤装は特自技研でやるんだとか。なにしろ一気に3機を導入するんでね、1社じゃまかないきれませんわな」

と権堂一佐。ちなみにAE=アナハイム・エレクトロニクス社は米国最大の特殊メカニック製造企業で、AEジャパンはその日本支社である。

「随分思い切った入れ替えをしますね…現行機は解体ですか?」

「いえ、1号機と3号機は原発救難用に運用が変更されます。元々そういう事態を想定されて開発された機材なんで、まあ30年経ってようやく本来の運用に戻る形ですな」

2号機は壊れるまで運用継続です、と権堂一佐は付け加えた。隣の卓ではスギウラさんに上手くはめられて酒を飲んでしまった熊谷さんが顔を真っ赤にして宮前さんに絡んでいた。なるほど熊谷さんは酔うとああなるのか、と私は一つ学習した。宮前さんは熊谷さんに眼鏡を強奪されて困惑していた。

「流石に自衛隊は怪獣退治に理解があって羨ましいですよ。ウチじゃG5部隊はいまだにイロモノ扱いされてますからね」

冒頭の乾杯以来ひさしぶりに口を開いたのは警察庁G5運用監理官の神戸警視である。年の頃は40前後で米長さんと同年代だが、見た目はもっと若々しく見える。気障ったらしい色男だが言動に嫌味な部分はまるで感じられない。育ちが良いのだろう。尤も本人曰く「警視庁に出向していた頃、名探偵の如き頭脳を持つ性格最悪な上司に振り回された結果何事にも動じなくなったおかげ」らしい。

「おかげで一條くんは気苦労が絶えないそうです。僕は監理なので今更なんとも思いませんけどね」

爽やかな笑みを浮かべて神戸警視が続ける。

「ま、何にせよ新年度も上手くやっていきましょう。もちろん今の職場に不満があれば科特庁はいつでも貴方達を熱烈歓迎しますよ。何しろ人手不足ですから」

冗談半分、しかし半ば本気で勧誘する私。神戸さんは「契約金次第で考えます」と笑いながら答え、権堂さんも「行く時はウチの連隊全部連れて行くんで」と笑っていた。そんなこんなで3機関合同飲み会はお開きと成り、皆思い思いに家路についた。今年度も気づけばあと一週間しかないのだ。

つづく

 

 

 

 

雑記48

せっかく福岡弾丸旅行をしてきたので福岡の写真でも載せます。

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大濠公園黒田長政の居城、福岡城の濠だった所ですね。すぐ近くにNHKの放送センターもあります。昔は海と繋がっていてボラやハゼ、クロダイやスズキの釣れる所だったそうですが高度経済成長期の水質汚染がヤバ過ぎたため海と切り離され、流出河川である黒門川には水門が設けられています。

完全に淡水化した現在はブラックバスブルーギル、申し訳程度にフナコイナマズが住んでいる程度です。私も子供の頃はここでブラックバスを釣っていました。ここではルアーなど使わず、釣ったブルーギルに大きな針を通して泳がせるブッコミ釣りが主流でした。私がここで釣った中で最大の物は80センチオーバーの雷魚です。

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水草が繁茂しまくっているので、どこから連れてこられたのか昔からソウギョが生息しています。どいつもこいつも1メートル近くありますが、稚魚や若魚を見たことがないので残念ながら自然繁殖はしていないようです。この写真では縮尺がわかりにくいですが80センチは超えています。

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ちなみに私が1年半ほど前に早稲田近辺の神田川で見つけたアリゲーターガーは推定60センチくらいでした。ソウギョがいかに巨大な魚かおわかりいただけるかと思います。荒川の野生のソウギョは1メートルクラスがいるらしいので、いつか釣り上げてみたいですね。

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私が子供の頃よく釣りをしていた川です。ハゼが主流でしたがスズキ、フナ、オイカワや天気によってはウナギも釣れました。写真に写っている橋のもう2本くらい下流までいくとクロダイもいますが、その辺は車通りが多く危険なので釣りに行くことはありませんでした。

もう20年くらい前になりますが、私の同級生が投げ釣りをしていて川の上を通っているケーブルに引っかけてしまった天秤がまだ残っていました。逆光になってしまい写真は撮れませんでしたが。

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我らがホークスの本拠地、福岡ヤフオクドーム。私が福岡に住んでいた頃はヤフードームでした。それ以前は単に福岡ドームでした。外から見ると金属製の巨大なカマクラといった趣がありますね。中に入ると鮮烈なグリーンの人工芝が敷き詰められています。この環境で子供の頃から野球を見ているので福岡市民は大抵野球好きです。

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ドーム横のホテルから天神・博多方面を一望。手前にある小高い山は西公園。クワガタが採れます。奥の海は那の津。一説には古代の『奴国』の本拠地があり、大陸との交易に使われる天然の港だったとされています。現在も福岡港の中核をなし、韓国への高速フェリーが運航されています。

 

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博多湾。奥にず~っと連なっている陸地の突端部分が志賀島と呼ばれ、かつては島でしたが現在は福岡と陸続きになっています。金印が発見された場所として日本史の教科書に載っていたりいなかったりします。ドームの後ろに見えている川は黒門川。かつては大濠公園博多湾を結ぶ川でした。今は公園と黒門川は水門で隔てられていますが、一応つながってはいるようです。

福岡に行ったのは8年ぶりくらいでしたが、また機会を見つけて行きたいですね。一応第二の故郷なので。

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おわり

雑記47

友人の結婚式に参加するため福岡の実家(と言っても今住民票を置いている東京の家もれっきとした母方の実家なので、現在は父が単身赴任で住んでいるに過ぎないこの家は最早『実家』と呼べるかは微妙な所ですが)に来ています。

東京〜福岡はおよそ1000キロ程の距離があります。新幹線は最速の『のぞみ』でも5時間かかります。普段なら飛行機を使う所ですが、早割の航空券を取れなかったので新幹線を使いました。

東京駅にやって来た上りの新幹線はそのまま折り返します。手際の良さは見事なもので、到着から下りの発車まで僅か10分でした。それにしても窓側の席ばっかり売り切れてて困りましたね…。

東京から多摩川を渡り武蔵小杉を通過すると、段々関東平野から山合いの地形が多くなってきます。途中の小田原、湯河原、あたりでは海が映えます。静岡県に入ると茶畑だらけ。ここらへんで

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新幹線名物のスゴイカタイアイスを食べていると名古屋に到達します。後輩のハゲちゃびん君は今日、名古屋駅で某鉄道会社と御社弊社バトルをしていたそうです。

名古屋を過ぎ濃尾平野に入ると、見渡す限り田んぼ田んぼアンド田んぼです。たまに小高い山?古墳?みたいなのがあります。高さ20〜30メートルくらいの山の一つは麓に祠のようなものがありました。何かが封じられているのかもしれません。

新大阪を過ぎると山陽新幹線になります。運転士も車掌も車内販売のお姉さんも全員交代。JR西日本の管轄に入ります。

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JR西日本の管轄でしか売らないアイスを食べます。こいついつもアイス食ってんな。

東海道に比べると山陽はトンネルだらけです。岡山駅前には変態糞土方の銅像を建てるべきではないでしょうか(大嘘)。そうこうしている内に九州に上陸しました。

福岡の名物と言えば大通りを埋め尽くす西鉄バスの大群です。皆さんも福岡に来たら是非見て下さい。明日は結婚式の後猛スピードで東京に引き返して日曜日は出勤です。

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おわり

 

雑記46

土曜開庁ってなんだ(哲学)

最近は日記の更新を物凄くさぼっていたので、久々に書こうと思うと筆が(キーボードが)進みません。おちんちん!(憤慨)おまんこぉ~(挨拶)

最近ネットで話題のものと言えば?そうですね、ケツデカピングーですね。淫夢界隈でゲイビを笑いのタネにしている者らをもってしても、あまりの絵面の汚さ故に敬遠されてきたサム○ンビデオ。それを音声だけ持ってきてペンギンのクレイアニメに当てはめるという逆転の発想が素晴らしいですね。製作者の漂白剤兄貴は天才だと思います。個人的にはOPが変わったのがちょっと残念です。あの「フン!フン!グノシィ…フン!フン!グノシィ…グノシグノシグノシグノシ…アアァ~…グノシィ…」のOPが好きだったんですがね。アレ単品で欲しい。

日本アカデミー賞のアニメ部門は『この世界の片隅に』が『君の名は。』や『聲の形』らを抑えて優勝でしたね。劇場版艦これ?申し訳ないが金のかかっただけのクッキー☆はNG。この世界の~の方は何と言いましょうか、戦時中の市民生活を描く作品としては極めて戦後史観の影響を排した描写が高評価につながったのではないかと思います。君の名は。の方はいい作品ですがちょっとオタク臭がね…

君の名は。の方も、もっと隕石を暴力的に倒してみてもよかったかもしれません。ウルトラマンが隕石を迎撃してみたり。なんかヤバイ高性能ガンダムに乗ったクソ強い天パのニュータイプ(29)が隕石を押し返したりしたらもっと盛り上がったかもしれません。しっとりラブコメもいいですが、時代はヒーローを求めていますので。

シン・ゴジラ』は7冠を達成。ゴジラオタク歴25年の私も「面白過ぎィ!」と思ったくらいなので本当に面白いのでしょう。まあ最強の円谷作品オタクが潤沢な金と高いモチベーションを保って作った「ぼくのかんがえたさいこうのごじら」なので面白くないわけないんですが。

次は庵野に「キングコング対ゴジラ」みたいなエンタメ系ゴジラを作ってみてほしいですね。熱心なゴジラオタクの中には60年代~70年代の子供向けエンタメゴジラに批判的な意見も多く見られますが、先ほど申し上げたように時代はヒーローを求めています。ゴジラは何と言っても怪獣王、ヒーローだって務まりますよ~。

大学時代に所属していたサークルも追いコンの季節が迫ってきていますね。今回卒業するのは私が6年生の時の入部組なので、来季も私と在籍期間の被っている世代がサークルに残っていることになりますね。ただ彼らが卒業するといよいよ私と現役時代の被っている人間がサークルにいなくなることになります。学生時代も思えば遠くに行ってしまったものです。

ただ早稲田大学の弊サークルはどういうわけか関東出身の地元民が多いので、卒業後も近隣にとどまっている人間が多いですね。現状気軽に会えなくなっているのは異動で近畿へ行ったアッキーと東海地方の会社に就職した後輩のハゲちゃびん君くらいでしょうかね。まあ関東圏でも埼玉の端の方の人とは気軽には会えないですが。

何故金というものは無い時に限って芋蔓式に必要になるのでしょうか。友人の結婚式、自宅の給湯管の故障、その他諸々…せめて冬のボーナスの時期にやってくれればよかったんですがねえ…夏のボーナスまでは金欠金欠アンド金欠です。ソシャゲに金を使い過ぎていたので、これからは抑えていかなければなりません。

個人的な話ですが、ソードアートオンラインの主人公とか魔法科高校の主人公とか、決められたレギュレーションで周囲にお膳立てされて無双する系のヒーローを最近ちょっと再評価しています。価値を見直したとか嗜好が変わったわけではないんですが、コイツらよりダメな主人公を何人か見せられている内に「相対的にマシ」に思えてきたんですねえ。でもヒーローはもっとカッコよくあって欲しいとも思ってます。モロボシ・ダンのように。

モロボシ・ダンといえば、ケツデカピングー第8話のポップコーンを作るシーンの「デヤーッ!」「ウワァ!」みたいな、なんかウルトラセブンの叫びみたいな音声のところに「モロコシ・ダン」ってコメントを付けた人は天才だと思います。

おわり

 

第42話

事あるごとに事件の舞台として描かれる新宿副都心。過去に多くのアニメで、ゲームで、映画で、常に舞台として用いられてきたこの街だが、実際に大きな騒動が発生したことはそれほど多くない。最大級の事件は昭和59年のゴジラ襲来(後に特生自衛隊における対怪獣戦の切り札となるスーパーXの初陣であった)だが、これ以降の30年間は新宿では怪獣や怪物の類による大規模な事件は発生していない。

「今回は新宿の繁華街の裏通りでの怪生物の目撃情報です」

事件は発生していないが怪異の目撃情報は少なくない。何しろ人通りの多い街だ。人に関わるタイプの怪異・怪物の噂は絶えることがない。それに新宿は東京屈指の坩堝のような街であり、人もモノも雑多な町である。新宿で働いている亜人も多く、亜人福祉課の出張所もあるほどだ。

私が読み上げた実調依頼書に基づき、早速現場へ向かう矢吹係長、島村さん、神木田さん、そして宮前さん妹の4人。なお我々の新宿支署は名前だけは新宿だが小滝橋にあり、新宿の喧噪とは今一つ縁がない。4人は怪異の目撃情報のあった、西武新宿の裏の古ぼけた通りを歩いていく。

「ナオン…ナァオン…」

どこからともなく猫の鳴き声に似た音が聞こえてくる。戦歴豊富な矢吹係長がとっさに身構えた。薄暗い裏路地から姿を現したのは、黒い影のようにも見える不気味な怪物であった。人のような形をしているが、全体的に角ばった印象がありどこか禍々しい。身長は2メートル近くあるだろうか。

鎮歩スリスと呼ばれる怪物。スリスというのはどこか遠い異世界にあると言われる金属世界の住人として物語に登場する架空の生物である。この鎮歩スリスは女との出会いを果たせぬまま死んでいった者たちの妄執が、そのスリスの姿に生まれ変わった物であるとされている。

「ナオン…ナオン…お、女ァ!」

女性陣を見つけ、物凄い勢いで飛びかかってくる。鎮歩スリスは女を見つけると生殖行為を狙って襲いかかる危険な怪物だが、その一方で男性の気配がすると警戒して姿を現さない。今回の調査に女性職員しか動員されていないのはそのためである。(そうでなければ、豊之内に一撃で仕留められておしまいなのだが)

「間合いが近すぎる…」

魔術弓で射撃を試みる矢吹係長だったが、鎮歩スリスが予想以上に素早く距離を詰めて来たため十分な間合いが取れていなかった。黒い影の如く、一行の頭上に飛びあがるスリス。

「この…変態野郎があっ!」

神木田さん、魂の叫びと共に火球をぶつける。鎮歩スリスは飛び退いたが、それほどダメージを受けた感じではない。思いのほか頑丈な身体をしているのかもしれない。

「アア…キモチィ…キモチィ…」

女性に構ってもらえて性の悦びでも感じているのか、不気味な声を上げながらクネクネとのたうち回るスリス。そのおぞましい姿に、後ろで見ていた島村さんは思わず顔を背ける。間合いの取れた矢吹係長は魔術弓を展開し直して、のたうつスリスに照準を合わせようとする。

だが鎮歩スリスはギリギリのタイミングで矢吹係長の攻撃をことごとく躱し、軽快に彼女たちの周りを飛び回る。かなりの身体能力である。なんとか動きを封じる方策はないものか。思案に暮れる矢吹係長。その時彼女はある作戦を閃いた。

矢吹係長に耳打ちされた島村さん、立て続けに水流を放射していく。しかし相手は矢吹係長の「風の矢」さえ躱せる鎮歩スリス。弾速の劣る水流が命中するはずもなく、周囲に無数の水溜まりを作るばかりであった。やがて島村さんの水流攻撃が止むと、鎮歩スリスは待っていましたとばかりに飛びかかろうとした。

しかしスリスは島村さんの手前1メートルほどの所に着地しようとして思い切り足を滑らせた。前のめりに1回転して飛び退るスリス。島村さんの作った水溜まりを宮前さん妹が凍らせていたのである。そこを見逃さず、立て続けに矢を射かける矢吹係長。スリスは器用に氷の上を滑走して、攻撃をすんでの所で回避する。

多数ある水溜まりの中の一つへ鎮歩スリスが着地した時、突然氷が割れて足がスッポリと嵌った。スリスが驚愕の表情で足元を見ると、水溜まりの下にマンホールの金属製の蓋が見えた。神木田さんがその蓋を炙り、氷の下を融かしていたのである。気づいた時にはもう後の祭り、すかさず宮前さん妹が水を再凍結してスリスを足をガッチリと固定する。

「全く手のかかる奴ですねあなたは」

矢吹係長はそうつぶやくと、風の矢を撃ち込んだ。自らの死を悟り目を閉ざす鎮歩スリス。矢吹係長の放った矢は正確にスリスの痛覚神経を破壊し、続く第二射がスリスを永遠の眠りに就かせた。一切の苦痛を与えることなく。

「随分と気を使った殺し方をしますね、係長」

不思議そうな表情をする宮前さん妹。

「まあ、この怪物に恨みとか敵意があったわけじゃないからね」

疲れたような表情で、それでも柔和な笑みを崩さず答える矢吹係長。実際のところ、この手の残留思念系の怪物は苦痛に満ちた死に方をすると姿形を変えて再び現れるリスクが少なからずあるため、苦痛を与えず死なせるという処置は間違っていない。

「姿形を変えても、また現れてほしい人もいるものですけどね…」

神木田さんがポツリと呟く。過去の抗争の残党として命を落とした友人のことを思い返しているのだろうか。隣にいた島村さんはヘトヘトだったせいか、それには気付いていないようだった。

スリスの亡骸を本庁の研究員に引き渡し、4人は支署への帰路についた。春を待つこの季節は日没が徐々に遅くなっていく。先週までならもう真っ暗になっていた時刻だが、まだ夕焼けが残っている。西武新宿から小滝橋へ至る道路を歩く4人であった。

つづく

第41話

新宿支署チームの威信をかけた技能選手権は、宮前さんの機転と熊谷さんの正確な魔法制御、白崎さんのスタミナもあって無事優勝することができた。今回のレギュレーションでは標的が絶縁シートを被ったドローンであり、宮前さんの電撃で撃ち落すという基本的な攻め手を封じられたこともあって苦戦が予想されたが、熊谷さんが雹を当ててドローンを落とし、白崎さんが絶縁シートと機体の隙間に根気よく苔を植え込み、隙間に宮前さんが電流を流し込むという極めて地道な戦術でスコアを伸ばしていった。

宮前さん妹率いる魔法学校選抜は全体で6位。学生としては健闘した方だろう。私の昔の教え子たちも今回のレギュレーションに適応しきれず、鷺沢さんのチームの4位が最高だった。三船さんと高垣さんが審判員として来ていたので、私は試合の終了後は優勝した熊谷さん達を労う前に彼女たちと飲みに行ってしまい、翌日は3人から冷たい視線を浴びせられた。

さて来年度の人事が固まりつつあった所に突然本部から辞令が飛んできた。秋山係長を近畿方面本部(今年から関西方面本部が近畿方面本部と京都本部に分割された)に異動させる、というものだ。来年度から統括係長職を秋山係長に任せるつもりだったので、これには参った。

序列で言えば、統括係長になるのは豊之内係長か。彼は現場に投入されて真価を発揮するタイプなので、デスクワーク中心の統括職にするのは不安である。まあ神楽坂が副署長として来るので、事務関係は彼に任せるとしよう。

考え事をしながら1階へ行くと、年度末が近いので臨時の窓口が開いている。各種の資格証明の更新や亜人の異動届け出を受け付けるための窓口である。窓口は委託職員さんたちが出てくれているので、私達は奥で書類をチェックするだけである。

書類のチェックの仕事を終えて2階のデスクに戻ると、FAXで来た書類が机上に置かれていた。氷柱が刺さった状態で。

「熊谷さんまだ怒ってるんですかね…」

ぼやきながらFAXに目を通していく。広域業務の依頼であった。新宿支署の管区外の案件でも、そこの管轄支署に適切な職員がいなかったり、他の支署に同種の事件の経験者がいる場合に応援を要請するものである。今回の事件の場所は埼玉県・秩父山地のとある山であった。

「全身毛だらけの化け物ねえ。ハゲのおっさんが聞いたら嫉妬で狂いそうな奴だな」

依頼の内容を聞いた豊之内の感想がそれであった。

「科特庁の記録で調べた感じだとノヅチかシシノケでしょう。北陸を中心に西日本ではポピュラーな妖怪ですが関東では目撃例はありませんね」

いづれの妖怪も毛むくじゃらのイモムシというかナメクジのような姿をしている。一説には昔、間引きによって生を全うすることを許されなかった者達の怨念が寄り集まって生まれたとされ、別の説では間引かれた奇形の子どもと山の神の間にできたものとされている。いずれにせよ、まともなものではない。

「じゃあ私も行きます。妖怪の類に対しては嗅覚が利きますから」

名乗り出る葵ちゃん。私としては危険なので連れて行きたくないが、そういうわけにもいかない。

「わかりました。ただし山に入ったら車から降りないように」

秋山係長の運転する車で山中に入ると、昼間だというのにヘッドライトなしでは視界が利かないほど薄暗かった。葵ちゃんの指示する方向へ車を進めていくと、赤ん坊の泣き声のような不気味な音声が聞こえてきた。私の右袖を強く握りしめる葵ちゃん。

「どうやらお出ましのようだな」

豊之内はいつもの調子からは考えられないほど真剣な表情になっている。秋山係長も運転席の脇に置いてあるバットのような得物のグリップを握りやすい位置に動かす。私も長杖―ここに来る前に一日中日干しにしていた物をいつでも取り出せる位置に持ってきておいた。

暗闇の中から姿を見せたのは、全長2メートル程度のヘビのような物体だった。目はなく耳もなく口だけがあり、全身をヤマアラシのように硬い針で覆われた異様な生物。私も実物を見たのは初めてだが、記録にあったシシノケと見て間違いないだろう。甲高い赤子の悲鳴のような鳴き声が暗い山中の空気を切り裂く。

「負の魔力が濃いな、山の神様って感じはしねえぜ」

シシノケを一瞥した豊之内が呟く。豊之内と秋山、そしてさっきまで車内で爆睡していた坂上が車外に降り立つ。私も車外に出て応戦したいが、葵ちゃんを1人にすることの危険性を考えて車内に残った。私が車内で杖を軽く一振りすると、青白い光の球が周囲へ飛び散り、半径10メートル前後―木々に囲まれていてさほど広範囲ではないが―を照らし出した。

シシノケが転がりだした。豊之内(既に闘鬼へ変身している)へむかって加速しながら転がっていく。すんでの所で飛びのいて躱す闘鬼。さっきまで闘鬼が背にしていた岩は、シシノケに衝突され綺麗に圧し潰されていた。もしこれが私のいる車の方に転がってきたら…。

私の心を読んだのか、唐突に方向を変え車の方へ向かってくるシシノケ。だが横っ腹に坂上=盃鬼の青紫の炎をまともに浴び、ひとたまりもなく跳び上がった。

戦鬼(オニ)の成り立ちは相撲の力士に似ている。元々は通常の人間である者が過酷な鍛錬と修業とを積み重ね、神に通じる力を手に入れるというプロセスは両者に共通である。現代では相撲は興行の色が濃く、力士に神通力があるかはわからない。ただ明治期の大横綱である梅ケ谷などは病人の枕元で四股を踏んだらその人の病気が治ったとの伝説があり、少なくとも昔は力士と戦鬼は近しい存在であったことが伺える。

跳び上がって体勢を立て直さんとするシシノケ。だがその着地点は既に闘鬼に読まれていた。着地の瞬間に音撃棒による強烈な一撃を食らい、シシノケは薄気味の悪い甲高い鳴き声を上げた。周辺に飛び散ったシシノケの針が、闘鬼の一撃の破壊力を雄弁に物語っていた。

躊躇を見せることなくシシノケを殴打する闘鬼。その清めの打撃が振り下ろされる度に、周囲の重苦しい空気が溶けて消えてゆく。時間にすれば一瞬の出来事であったが、見ている私達にはとても長く感じられた。闘鬼の手が止まった時には、シシノケは息絶えて(怪異の類に元から命があるのかどうかも怪しいが)動かなくなっていた。さっきまで不気味な暗闇だった森の中は、清浄な静けさを取り戻していた。

一同が帰ろうと車に乗り込もうとした時、藪の中から何かが飛び出してきた。身構える私達。だがその正体に気づくのに要した時間はせいぜい1秒程度であった。

「あ、島さんにトウキさん。サカヅキくんも」

現れたのは江戸川支署の所長補佐、秋吉統括係長=暁鬼であった。どうやら彼にも広域依頼が来ていたようだ。闘鬼が東の正横綱なら暁鬼は西の正横綱である。

「ちょうどいいや。実は電車とタクシーで乗り継いで来て山の中を歩き回って、シシノケを山の反対側で仕留めてきたんでね。途中の川越の駅あたりまで車に便乗さしてくださいよ」

かくして新宿支署から派遣された私達5人は、車に思いがけない客を乗せて帰路についたのであった。葵ちゃんは緊張が解けたからかすっかり熟睡していた。戻ったら熊谷さんの機嫌が直っているといいな、などと思いながら私は埼玉の、かつての武蔵国の平野の果てを眺めていた。

つづく