第38話

「あ~寒い。こういう馬鹿みたいに寒い日はアルコールを摂取して体内の燃焼効率を上げないと仕事にならないナア」

私に聞こえるよう大声で言いながらデスクで堂々と飲酒している坂上である。そんなに飲みたきゃ工業用アルコールでも飲んでろ、と言いたいところだが子供(研修生ズと陽ちゃん葵ちゃん)の前だったのでグっと堪えた。

「今日の実調は2か所。中野区鷺宮練馬区中村です。鷺宮には熊谷さん、宮前さん、白崎さんと宮前さん妹。中村にはスギウラさん、島村さん、鹿島さん、一之江さんに行ってもらいます。矢吹係長と神木田さんは本部待機です」

私はいつも通り報告書に基づき人員を割り振る。来年から神楽坂が合流すればこういう仕事を任せられるので、私ももう少し現場に出られるようになるだろう。尤も今年入った若手3人娘も研修生3人娘も着実に力をつけてきているので、私の出番自体がそうそう無いかもしれないが。

鷺宮は昔は低湿地だったらしく、神社に多くの鷺が飛来したことが地名の起源であるという。西武の駅前は喧噪を伴っているものの、一本路地を入れば閑静な住宅街である。

「あ、神社の方に何かいますね…」

異常に気付いたのは白崎さんだった。甲羅の幅1メートルはあろうかという巨大な蟹の怪物がいたのである。甲殻要塞生物カニ・ドウラ・クー。不当な殺され方をした蟹の怨念が集合した妖怪の一種である。赤い甲羅には禍々しい棘が生え並び、大きな鋏は人命さえ奪いえるものである。

中村もまた、昔は低湿地であった土地である。昔まだ練馬区板橋区の一部であった時代には大きな沼があったものだと、私は主任時代この地域の老人に教えてもらったことがあった。

「あそこの畑に何か不気味な影があるわね…」

スギウラさんが同行している後輩達に告げる。目の前に現れたのは、いつかスギウラさんが退治した豚の骨の妖怪であった。その時のものより幾分小柄なので、恐らくは別個体であろう。

同時刻、鷺宮側。

「あのカニの泡は有毒です。そのまま戦うのは危険ですね」

宮前さんがタブレット端末で資料を確認している。カニ・ドウラ・クーの泡は人間の細胞にダメージを与える成分が含まれているのである。

「それじゃ装備を変えましょうね。変身!」

熊谷さんが叫ぶと、彼女の身を包んでいた衣服が変化し始める。白地に薄い青を基調とした振袖のような和服風の装束に銀色をあしらった帯。熊谷さんなりの魔法少女テイストのコスチュームに身を包み、カニの妖怪に向き合う。魔法少女コスチュームは単なる飾りではなく、魔法力を帯びているため身体を保護する機能があるのだ。

それを見ていた他の3人も一斉に変身魔法を起動する。白地に若草色を基調としたドレス風の装束は白崎さん。黒いカーディガン+黒地に赤と金の装飾の入ったローブという魔法使い然とした装束は宮前さん。詩織ちゃんも魔法学校で変身魔法を履修済みだったりする。白単色に袖口に青い縫い付けの入った巫女服のような上衣に水色の袴。濃紺に金色の縁取りがついた帯は背部で大きく蝶結びになっている。杖も祓い串のように変化している。

「今の魔法学校ってそんなのも教えてくれるんだ…」

呆気にとられる宮前さんと熊谷さん。

その頃、中村。赤いドレス風の装束に身を包んだスギウラさんは。豚骨の妖怪を倒し終えた所であった。思っていた以上に執念深い相手だったらしく、流石のスギウラさんも肩で息をしている。汗で白い肌に金髪が貼り付いている。

「3人ともお疲れ様」

疲れた表情は一切見せず、後ろで推移を見守っていた後輩3人にねぎらいの言葉をかけるスギウラさん。3人とも防護のためコスチュームを身に纏っている。島村さんの装束は姿形は白崎さんのそれと瓜二つだが、配色が違っている。淡いクリーム色地に濃い青が基調になっており、彼女の得意とする魔法系統を現している。

一之江さんの装束はフリルが多くてアイドル衣装みたいだ。配色も淡いピンクに翡翠色と黄色のチェック模様とけっこう派手目である。本人の大人しい性格とは対照的と言えるだろう。鹿島さんの装束はセーラー服風である。白地に濃紺の上衣、濃紺のプリーツスカートで夏ならばかなり涼しげだろう。リボンの付いた丸い帽子がお洒落だ。

それはさておき、鷺宮では。

カニ・ドウラ・クーの予想外の甲羅の硬さに苦戦していた。熊谷さんと詩織ちゃんが足回りを凍結させて動きを止めることに成功したものの、有害な泡と危険な鋏のために迂闊に接近できない。宮前さんが高圧の電気を一点に集約させ、即席のレーザーメスのように射出する。3度か4度繰り返した所ようやく甲羅に穴が開いた。

「あの穴から入れます」

白崎さんは呪文を詠唱していく。ほどなくして蟹から草が生えてきた。それでも蟹は動きを止めないので、白崎さんは草の根を使って甲羅を内側から少しだけ壊した。そこから新たな草を生やす白崎さん。蟹は背中全体に草木が生い茂ってもなお動き続けていたが、10分ほどでようやく動きを止めた。

私が豊之内、秋山、新城の各係長と麻雀を打っていると実調出動を終えた2組8人の魔法師たちが戻ってきた。それぞれ私に報告書を提出すると、思い思いに上の階の風呂場へと向かっていった。なお私は麻雀は勝てなかったが大負けもしなかった。途中で坂上が持ってきた酒を皆で飲み始めたため、入浴を終えた女の子たちが降りてきた時には宴会状態に入っていた。

激動の平成28年も残すところあとわずかになった。しかし年の瀬にはわけのわからない依頼がよく来るものだ。私は熊谷さんとスギウラさんから受け取った報告書に目を通すため、飲酒を途中で切り上げ自席へと向かった。

つづく

 

 

 

場外戦1

特生自衛隊の歴史は長い。半世紀ほど前に自衛隊が発足した当初は陸・海・空の3軍から構成されていたが、発足から間もなく首都圏を襲った巨大生物災害を機に有害な特殊生物の駆除を目的に設立されたのが特生自衛隊である。

で、私はその特生自衛隊に所属する権堂特佐だ。正式には1等特佐、「特生自衛隊の」「1等佐官」つまり軍隊における大佐というわけだ。自衛隊は軍隊ではないというタテマエ上大佐と名乗るわけにいかないのだ。職務は南関東第2大隊長、東京と神奈川の怪獣退治を指揮している。

4つの自衛隊のうち最後発の特生自衛隊は市ヶ谷の本省ではなく練馬の駐屯地に間借りしている。なんだよ練馬って東京のくせに農地だらけだし牧場はあるし…まあ私は職業柄田舎は特に気にならないが。

駐屯地で筋トレをやっていたら本庁から呼び出された。テレビ画面越しに、指令を寄越してくる50手前のおっさんの顔が見える。おっさんの名は池元。階級は特将=特生将官つまり軍隊でいう所の大将だ。役職は幕僚長。要するに特生自衛隊で一番偉いおっさんということだ。

「権堂一佐、急な案件で悪いが大田区川崎市間の多摩川河川敷で巨大生物の目撃報告があった。科特庁から来た資料を転送してあるから確認してくれ」

いかつい風貌の割に池元のおっさんは物腰が柔らかく紳士的だ。科特庁というのは8年ほど前に発足した官庁で、まあ魔法だったり亜人だったりといった「普通の役所が扱わないほどバカバカしい案件」を扱う所だ。ここの関係機関調整課と、駐屯地を管区に含む新宿支署の職員とはよく顔を合わせる。

「はあめんどくせ…」

私はテレビ画面の電源を落とす前にウッカリ口を滑らせてしまった。池元のおっさんにバッチリ聞かれてしまった。

「そういうな、仕事なんだから」

池元のおっさんは苦笑している。通信を切り、パソコンの受信ボックスを見ると科特庁から資料が来ていた。添付されていた写真を見ると、明らかに見覚えのある怪獣とも動物ともつかない物が写り込んでいた。ケツァルトルと呼ばれる異世界産の小型怪獣だ。通常はインドサイ程度の大きさのものが多いが、今回のは後ろの風景から察するに明らかにデカい。全長は恐らく15メートルほどといったところか。

「確かにデカいけど、この程度なら警察に任せりゃよくねえか?G5X出せば対処出来ないサイズじゃねえだろ」

私は傍らにいた副官の吉田に質問をとばす。吉田は特殊車両の操縦を専門にする男で、趣味が筋トレという筋肉信者だ。彼のチームは全員筋トレマニアなので、筋骨隆々な古代神話の英雄になぞらえて「ハーキュリーズ」と呼ばれていたりする。階級は3等特佐だから軍隊なら少佐だ。

「警察は県を跨ぐ場所だと調整に手間取りますからね。今回はちょうど東京と神奈川の間ですから」

肩にバーベルを担いだまま答える吉田。なぜ隊長執務室でまで筋トレをしているんだコイツは…

「じゃあ科特庁はどうだ?あそこもG5X持ってるだろ」

「管轄の品川支署にはG5要員がいないそうです。いいじゃないですかここで実績作っとけば来年の予算強気に要求できますし」

ダンベルを持ち上げながら吉田が笑う。

河川敷は草が生い茂っていた。ススキの類は背丈も高く、3~4メートルはあるだろうか。ケツァルトルが姿を隠している可能性は低くない。私が送り込んだ隊員達は慎重に草原をかき分けて進んでいく。

「いたぞ!」

隊員の一人が通信機を通じて叫ぶ。各隊員は怪物との距離を一定に保ちつつ後退してくる。私はその様子をハーキュリーズの運転する車両の中から眺めていた。ほどなくして問題のケツァルトルが姿を現した。なるほどデカい。大型バスくらいのサイズはあるだろうか?

「こちらゴリラ1、射撃の可否を問う」

隊員は10名ずつユニットで行動している。それぞれのユニットはユニットリーダーの苗字の頭文字の名詞で呼ばれるのが慣習であった。ゴリラは後藤一尉が率いるユニットなので、頭文字のGからゴリラと呼ばれている。同様に佐々木一尉率いるユニットはスネーク、田代一尉ならタイガーとなる。

「こちら本部、射撃を許可する」

私の指示一つで各隊員が一斉に射撃を始める。ケツァルトルはデカいし獰猛な性格なのだが、身体の構造は大型哺乳類とあまり変わらない。特生自衛隊ならG5Xチームを動員するまでもなく対処可能だ。戦車の装甲さえ貫通する大型機銃の一斉射撃を食らい、巨大ケツァルトルは数分で倒れた。

「総員、合掌」

ケツァルトルは好き好んでこの世界に現れるわけではないし、快楽のために人に危害を加えるわけでもない。コイツを死なせるのは人間側の都合だ。死者には常に礼儀を以て接しなければならない、特に私達軍人(法解釈上は自衛官は軍人ではないが)は尚更だ。私の合図で全隊員がケツァルトルの亡骸に手を合わせた。

「兄さん、お疲れ様です」

亡骸は科特庁の巨大生物研究局が引き取る。科特庁のトラックから降りてきた白衣を着た若い女性は巨大生物研究局の権堂千夏博士―私の妹だった。

「おお千夏か、ケツァルトルの研究は進んだかい?」

「何とも言えないわ。少なくとも身体の組成は私達の世界の哺乳類とほとんど変わらない。ワームホール経由以外にどうやって現れるのか分かれば対策の立てようもあるんだけど…」

妹の乗ったトラックとは反対方向へ発車した車内で携帯電話を見ると、いつの間にかメールが来ていた。差出人は黒木1等特佐、私の同期だ。

「今日横田に寄港だから飲みに行こう。黒木」

メールの文面は彼の性格を反映して素っ気なかった。黒木は第3特殊航空防衛戦隊の隊長を務めている。特殊航空機スーパーX3を主軸とした、対巨大怪獣戦の切り札となる部隊だ。軍隊における空母や戦艦と同様、スーパーXは1機1機が独立した部隊を構成している。そのため、黒木の職務は早い話がスーパーX3の機長というわけだ。スーパーX3は普段は新千歳を母港としているが、今日は横田にいるということは恐らく米軍との共同訓練か何かがあったのだろう。

ハーキュリーズの運転はいつも荒っぽい。私はひとまず練馬の駐屯地に戻って報告書を作らなければならない。ケツァルトルとの戦いよりも過酷なハーキュリーズの車両での移動をこなしながら、私は報告書の文面を考えなければならないのだ。

つづく?

 

 

 

 

 

雑記41

甥が野球教室に参加するというので保護者として神宮球場へ行ってきました。神宮球場は春先や晩秋でもナイターゲームだと普通にメチャクチャ寒いんですよね。私はプロ野球観戦といえば福岡ドームという超温室環境で育ったので尚更そう感じます。

で、もう12月なわけで神宮球場は寒過ぎィィィィィィィィィィィって感じでした。流石に野球教室は室内練習場でやってましたね。私は野球教室の間はヒマだったので久々にバッティングセンターへ。最初は球が全く見えず空振りを連発していましたが、目が慣れてくると当たるようになりました。それでも中々ボールを捉えきれずゴロが多かったです。後半はいい当たりも出てきたので次行ったら長打も打てると思います。

しかし久々にバットを振ったので手へのダメージがヤバイ。右手の中指付け根は思い切り皮がむけました。バッティンググローブを持っていけばよかった。肩や肘にも微妙に違和感が残ります。日頃の運動不足の代償が…今後はもう少し身体を動かしていこうと思いました。

話題がねえぜ。デレステで5万円溶かした話してもしょうがないし艦これの話題も今のところ別に…って感じですね。さかこ君に飲みの誘いを先週今週で都合3回断られた話でもする?(私怨)

あ、あと先週は京都から遠路はるばるお越しいただいただしマスター氏と麻雀対決をしました。私の見せ場は唐突なオールスターツモでチップ18枚荒稼ぎした所とメンホンチートイ狙い撃ちくらいしかありませんでした。先日の九蓮テンパイを上がり損ねて以来どうもツキが下落傾向にあるような気がします。

その後はもう滅茶苦茶に酒を飲み騒いでいました。だしマスター氏は新幹線の時間があるので1次会までで帰られました。また飲み会しましょう。2次会はサイゼリヤでアホみたいに白ワインをドバーッと飲み記憶ねえぜ。アッキーが酔っ払って色々語っていたような。あと岬ちゃんは酔っ払っても吐いたことは無いとか。女の子が吐くほど酒を飲むのは…やめようね!

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↑このくらい理不尽なレベルの強さがほしい。

温泉旅行に行きたい。可愛い女の子の膝枕が付いているとなお良し(もうこのネタ通じる人少なそうだな)。スイカズラ 温泉旅行 ひざまくら

おわり

 

第37話

年末年始に向けて街の浮かれ具合が加速度的に高くなってゆく季節。浮かれたアホどもに釣られて有象無象の妖怪だの物の怪だのといった連中が街に出没することが多くなるので、私達の職場はこの季節はとても忙しい。街にいるのは化け狸先輩のように酒を飲んで騒ぐだけの善良な妖怪ばかりではないのだ。

そんなわけで私のデスクは報告書で埋め尽くされている。私は書類決裁はかなり速い方であり、平時ならば決裁待ちの書類など一枚も残ないのだが年末だけはそうもいかないのである。既婚の秋山係長は奥さんに頭が上がらないのか、この時期はよく有給を取って家族サービスに精を出している。

気分転換に葵ちゃんの買い物に付き合ってあげた私だったが、帰り道で出くわした浮浪者のオッサンが臭過ぎたのには閉口した。その悪臭をまともに吸ってしまった葵ちゃんは気分が悪くなったらしく、私は荷物持ちどころか葵ちゃんまで背負って帰るはめになった。

姉の茜ちゃん曰く、葵ちゃんは幼少期から狐娘の中でも突出して嗅覚が鋭いらしく、いなり寿司に使う醤油が変わったら一発でわかるという。大した才能だが日常生活では便利とは限らないのである。白崎さんが脱臭用のハーブを持ってきてくれたので、葵ちゃんの枕元に置いておいた。

翌日。本庁から神楽坂が来ていた。来期の組織改正についての話があるのだという。科特庁は発足からまだ10年も経っておらず、組織構成については手探りな部分が多いのである。

「従来通り東京方面本部の下に新宿支署を置く構造は変わらない。米長さんは引き続き7級職にあって署長を務めることになるね」

神楽坂が説明を始めた。7級職、即ち特務課長よりも上には8級職=部長しかない。本部長と傘下の署長が同格ではおかしいので、米長コマンダーの7級職続投はある意味必然ではある。

「で、島やんだけでなくドカタや秋吉からも要望があったんだけど、来年度から副署長を2名配置することになった」

「ああいいっすねえ~」

現行の署長補佐1名体制は明らかに無理がある。私に限らず、北支署の土方も江戸川支署の秋吉もキャパシティの超過をずっと訴えてきた。

「副署長には課長級を以て充てることが決まった。したがって島やんは6級職に昇任ということになるよ。やったね」

と神楽坂。6級職から上の職層には超過勤務手当が付かないので、嬉しいかと言われると微妙なラインではある。

「もう一人の副署長は?」

私は当然そこが気になったので質問してみた。

「俺だよ。せっかく本庁に行ったけど1年で出戻りだ。まあ昇任と引き換えだから悪くはないさ、出世は男の本懐だしな」

と神楽坂。まあ新宿支署の発足当初から、というより科特隊米長班の頃からいたので当然の人選ではある。しかし本庁もよくこの男を手放したものだ。ちなみに新宿以外の支署は大規模な異動が多いらしく、高井戸先輩の率いる世田谷支署には土方・秋吉が新たに課長=副署長として配置されるという。荒川の糞親父が今度は多摩川に現れるということか…その影響で中須田は統括係長に昇任するらしい。

嬉しい情報もあった。門原さんが客員待遇でGユニット研究課に入ることが決まったという。エターナルメモリの情報が欲しい科特庁とユニットのメンテナンス等で協力者を探していた門原さんの思惑が一致したらしい。正式な職員ではなく、あくまで「たまに顔を出す」程度の関係らしいが、門原さんが科特庁の(科特隊時代から続く)流星のバッジを身に着けるのは実に7年ぶりである。

そんなわけで来年度の新宿支署の顔ぶれがある程度見えてきた。署長の米長さんは変わらず。島畑・神楽坂の両課長が副署長。4人の4級職=係長の内、最年長の秋山係長が5級職=統括係長となり3係長を兼任。1係長の豊之内、2係長の新城、4係長の矢吹は留任。

異動者としては洲本さんが陰陽師がどうしても必要だという世田谷支署へ行くことになった。米長さんと高井戸先輩の話し合いで決まったらしい。世田谷支署の管内には怨霊の類が出るエリアが多いらしく、陰陽師の職員で世田谷へ異動出来るのが洲本さんしかいなかったらしかった。洲本さんに抜けられるのは困るが、米長さんが同意した以上は仕方がない。

トレード要員?として世田谷からは藤岡富士夫主事が異動してくることになった。坂上と猛士時代の同期だった彼は、10代目吹雪鬼(フブキ)を襲名した現役の戦鬼である。一つの職場に戦鬼が3名も集まるのは極めて異例であるが、それだけ新宿支署の管内では戦鬼を必要とする案件が多いのである。

一方でホリ隊員は本庁直属になった。G5Xユニットの保守整備を効率化するため、科特庁のG5チームは各方面本部で一括管理することになったのだという。私はその方針自体は正しいとは思うが、新宿支署の貴重な若手男性職員が一人減ってしまうのは地味に困った問題である。まあこればかりは文句を言っても仕方のないことなのだが。

新人3名はそのまま1級職=主事として残留、研修に来ていた学生3名のうち宮前さん妹は卒業に伴い1級職主事として新宿支署の正規職員になる。一之江さんと鹿島さんは引き続き研修生として残ることが決まった。あと(私のゴリ押しで)葵ちゃんを1級職主事として採用することに成功した。茜ちゃんと陽ちゃんについては引き続き事務職員という体で残ることになる。

「ホリ君を持っていくなら男性職員を補充してください。私達と同じウィザードでいい人材を探してもらえると助かります」

私は神楽坂に無理を承知で依頼しておいた。彼が本庁に戻るのを見送って庁舎に戻ってくると、葵ちゃんが熊谷さんの指導を受けていた。彼女の魔法はまだ発芽したばかりである。なんとか来年の4月までには実用レベルまで成長して欲しい。狐娘だってやれば出来るのだ。でも無理はさせたくないという気持ちもある。

私が悩んでもどうにかなるものでもない。とりあえず今は眼前の書類の山を倒さなければならない。熊谷さんが淹れてくれたコーヒーを貰い、私は膨大な数の書類の決裁作業を再開した。

つづく

 

雑記40

麻雀にけっこう長いこと触れてないので明日ちゃんと打てるか不安です。

私のかつて所属していたアニメサークルは、いつの間にか女性がいなくなり私が入部した頃のような男所帯に回帰しているようですね。(筆者注;ここでいう女性はジェンダーの話です。生物学的にマ○コが付いているかどうかではありません)やはりオタクサークルが他のウェイ系サークルと差別化して生き残っていくには、純化路線が一番手っ取り早いのかもしれません。

私の現役時代には、サークルには女性部員がそれなりにいました。銀子嬢に岬ちゃんにアッキーの彼女にひたか氏などなど…。しかし女性問題が元で弊サークルは私の高校時代からの友人と袂を分かつことになりました。まあ彼の性格からして女性絡みがなくてもいずれはトラブルを起こしていたかもしれませんが。

そんなわけで私はサークルに女性部員が入ってこなくなったからと言って気に病む必要は全くないと思います。男子校みたいなバカなノリで楽しめるのがオタクサークルですから。もちろん女性部員が入ってきたからといって拒む必要もありませんが。

そんなアニメサークルで今一番人気の女の子がねねっちこと桜ねねです。池沼女子大生ねねっちは一部から「マン毛を油そばにして食べたい」と言われるくらいの人気があります。ちょっと注意力が足りてなくてやらかしただけなのに池沼扱いされててかわいそうだと思いました。

艦これ劇場版に関しては「思ったほどクソじゃなかったな」という気持ちと「やっぱりクソじゃないか(憤怒)」という気持ちがせめぎ合っているので感想は特にございません。まあ艦これ運営の無能っぷりとテレビアニメ時代のやらかしの数々を加味して「やっぱクソ」ということで。映画に出ることが決まった艦娘たちが「犠牲者」呼ばわりされてたのは流石に草。

九次元大霊の降臨により全ての深海棲艦がいなくなった世界。用済みとみなされた艦娘は二束三文の退職金を押し付けられ、鎮守府を追われてしまう。時を同じくして定年退職を迎えた老提督は彼女たちを不憫に思い、自らの退職金(彼は艦娘達と違い、まがりなりにも海軍大将なので莫大な額をもらっている)を元手に芸能プロダクションを設立し、”元”艦娘たちを再び華やかな世界へ羽ばたかせることを決意する。

「汝、迷える艦娘よ。武器を捨ててマイクをとれ」アイドルマスター/ZERO。始まります!今ならCu:吹雪、Co:響、Pa:夕立の3人のSSR排出率2倍!

おわり

 

 

第36話

都内の繁華街に近いにもかかわらず来客のあまりない新宿支署であるが、この日は来客があった。警察庁の特殊部隊を率いる一條警視である。過去に次元間ワームホールが発生したり巨大生物が出たりする度に顔を合わせた間柄であり、調整課を通さず話せる警察サイドの窓口的存在でもある。

「実は先日事件が起きまして、科特庁さんにも無関係とは言い難い案件ですのでお伝えしておこうと思いまして…」

関係機関同士の横の連携は、現場を与る者にとっては必要不可欠なものである。

「そうでしたか。どのような事件です?」

「先日、警視庁のG5Xチームが不審な強化人間と交戦しました。本格的に武力衝突したわけではありませんが、加賀美警部補と氷川警部の二人がかりでも押されたということで相当な実力者ではないかと推測されます」

二人ともG5X部隊での活動期間は極めて長く、かなりの実力者である。その二人を圧倒する実力となると、もし敵なら相当に苦労が予想される。

私が腕組みをして難しい顔をしていると、一條警視は1枚のDVDを取り出した。

「これは氷川警部機の頭部カメラの映像です。そちらの本庁にも同じ物を送らせていただきます」

早速パソコンで映像の再生を開始する。そこに映っていたものとは—

「…これG5Xですよね。それも現行機じゃなく旧世代のG5X2だ」

現在は警察・自衛隊・科特庁の3機関が共通運用しているG5X3だが、その前身機に相当するG5X2は自衛隊には配備されていなかった。科特庁の機材も警察からレンタルされた数体のみであり、最高傑作と称されるX3に比べるとやや影の薄い機種である。

「正規のX2は現存しません。X3への置換に際して全て廃棄してX3建造の材料にしましたからね。この機材は何者かがデータを持ち出して作ったデッドコピー品ということになります」

一條警視は困ったことになった、と言いたげな表情をしている。仮にデータが盗み出されたとしても、G5Xシリーズは材質が極めて特殊であるため完全にコピーすることは不可能である。ということはここに映っているのは劣化コピーのはずなのだ。

私は科特庁への試験導入に立ち会ったのでG5X2のことはよく覚えている。警察機材特有のブルーメタリックの装甲に赤い複眼式カメラアイ。警察仕様のX3と外見はよく似た機材だった。

だが、映像に映っていた機材は明らかに外観が違う。白い装甲、黄色い複眼式カメラアイ、そして特徴的な黒いマント。そしてベルト周りにはメモリか何かを挿入するのか、意味深なスロットが存在している。

一條警部が帰った後、映像解析を行っていた本庁から連絡が来た。科特庁サイドでも、やはりG5X2の運用記録に該当する機材は無かった。だが本庁の事務職員で、そのX2を見た覚えがあるという人がいたという。

1時間後。本庁から来た「G5X2に見覚えのある人」を迎えた私はちょっと驚いた。立派な三角耳にふさふさの尻尾を持っていたのだ。人間ではく狐娘だったとは…。年のころは茜ちゃんよりもさらに年長で、23歳くらいだろうか。栗色の髪に藤色の瞳は典型的な日本在来型の狐娘の特徴だ。

「こんにちは、本庁広報課主事の杜若と申します」

「単刀直入すぎて失礼は承知ですが、お話いただけますね?」

私の無粋過ぎる質問にも柔和な表情を崩さない杜若嬢。まだ若いのに中々人間が出来ている(いや狐娘が出来ている?)。

「はい。私は物心ついた頃に変な財団に引き取られました。妖怪の力を妖怪メダルを介さずに人間に反映させる研究をしている財団で、私も狭いところに閉じ込められて飼われていました。あの仮面の戦士…たしか門原さんと名乗っていましたが、あの方が来て財団の施設を破壊してくださったのです」

杜若嬢の表情が徐々に硬くなってゆく。思い出したくない記憶なのかもしれない。

「施設は破壊されて私達研究素材は自由になったんですが、財団の連中は私達の体内に時限爆弾を仕込んでいました。私は爆弾が不発で助かりましたが多くの仲間が命を落としました…」

杜若嬢の記憶を解析している私もだんだんと気分が悪くなってきた。研究データを守るための処置なのだろうが、妖怪も亜人も生きている仲間だ。命を何だと思っていやがるんだ…

「その後私は行き倒れていたところを科特庁の職員に保護されました。門原さんがどこへ行ったのかはわかりません。でも間違いなくあのアーマーを身に着けていました」

警察にも協力を依頼し、ようやく門原氏の情報にたどり着いたのはその日の夕方であった。併せて問題の財団についても情報を収集していたので、些か時間がかかりすぎてしまったのである。門原氏は32歳。元々我が庁の前身である科特隊にいたが組織での活動では自由が利かないと退職。財団が新規開発を進めていた強化スーツのテストパイロットに選ばれたということらしい。

問題は財団の方である。表向きは妖怪や亜人向けの薬剤の研究を行う財団だが、裏では危険な実験を多く実施している疑惑がある他、ハッカーを雇って科特庁や自衛隊サイバー攻撃を繰り返していた疑いを持たれている。コイツらがG5X2の研究データをハッキングして、デッドコピーを作っていたのかもしれない。財団自体は科特庁の監査を受ける直前に解散しており、関係者の消息はわかっていない。

私は例によって東京中の思考を閲覧してまわり、とうとう門原氏を発見した。彼の思考から読み取れたものは2つ。財団において爆殺を主導した者への復讐心と、何を以てしても埋められるかわからない喪失感であった。

「あ、門原氏は財団関係者のアジトを知っているようですね。現場に行きましょう。杜若さんもご一緒願います」

私達が到着する少し前。新宿駅にほど近い廃ビルの一角で二人の男が睨み合っていた。片方は灰色の総髪を持つ30代の男、つまり門原氏である。もう一人は陰険そうな目つきをした初老の男。かつて財団の研究主任を務めた、Xと呼ばれる男だ。

「久しいなX…今日こそ因縁を終わりにしよう」

そう言い放つと門原氏はベルトを起動し、1本のメモリを挿入した。俗にエターナルメモリと称されるデバイスで、本来型落ち機のはずのG5X2を最新鋭機並みの性能に引き上げるものだ。

「それは無理だな」

Xは不敵に言い放ち、彼が妖怪達から—妖怪の命と引き換えに—集めてきた錠剤を一気に体内へ流し込んだ。デバイスを介さず、直接力を人体に取り込む薬物。それこそXが追い求めてきたものだったのだ。

両者の攻防は一進一退の状況が続いている。X2は旧式であるため、重火器が装備されていない。そのため改造されたエターナルX2であっても格闘戦が中心になるのだ。一方、Xは河童の甲羅の力を引き出す薬物を使用した。これによって自身の周囲に疑似的に装甲を作り出しているのだ。エターナルX2は徐々に出力が減少し始める。

「エターナルX2、いや門原。口ほどにもないな」

ほくそ笑むX。と、そこへ

「未熟未熟未熟未熟~!!」

と叫びながら完全装甲態の闘鬼が突入してきた。Xの疑似装甲は闘鬼の拳一発で粉々に砕けてしまった。そこへエターナルX2が飛び蹴りを叩き込み、Xに致命的な打撃を与えることに成功した。

「門原さんだっけ?とりあえずコイツ殺すのに協力するから科特庁に戻りませんか?」

呆気にとられた様子の門原氏に話しかける豊之内。

「いや…俺はコイツらの財団から誰一人救えてねえ。今更どの面下げて戻れというのか…」

門原氏はどうあっても戻る気はなさそうだ。

「いえ…門原さん、貴方は私を救ってくれました。それだけはどうか忘れないでください…」

杜若嬢が割って入る。門原氏との再会は7年ぶりくらいだろうか。だが成長した姿であっても、門原氏に思い起こさせることは出来たようだった。私は門原氏の記憶の中の喪失感が、一部ではあるが消えて行くのを確認した。

「ふん…くたばり損ないの狐の化け物か。今度こそ爆発して死ぬがいい」

死の一歩手前にあるXは最後の力で杜若の体内の不発弾を起爆させようとする。だがいくら念じても爆弾は作動しない。

「今時2進法の起爆コードなんてチンパンジーでも解除出来ます。魔法の基礎研究を軽んじましたねえ?」

私は杜若嬢の体内から摘出した爆弾を持って登場する。そして驚愕の表情を見せるXの前で、その爆弾をバラバラに分解してみせた。

「貴様っ!なんという非道n」

スペシウム光線!!!」

Xの声は聴くに堪えなかったので、私は大火力光線でさっさと焼き払ってしまった。

「狐のお嬢ちゃん、すっかりデカくなったな。ずいぶんと美人になったものだ」

目を細める門原さん。しかし私達の「科特庁に戻って」というオファーには応じられないということだった。せっかく手に入れた自由だから、と彼は笑った。今後もエターナルX2として、流浪のヒーロー稼業を続けるつもりだという。私は餞別がわりに、X3のパーツを使用してエターナルX2の装甲や出力を強化して彼に託した。

元をたどればコピー品とはいえ、今や唯一のG5X2である。今後も活躍してほしい。杜若嬢も門原さんに昔の礼を述べている。我々科特庁と彼は手段は違えど、人間と妖怪や亜人の共存という目的は同じである。

支署に戻ると深夜2時を回っていた。上で寝静まっている葵ちゃん達を起こすのも悪いので、私と豊之内は深夜の銭湯へ繰り出していった。

つづく

 

 

雑記39

艦これイベントの度に画像投稿でページ数を水増しする悪いオタク。わしです。糞イベ過ぎて画像すらろくに上げてなかった前回のイベント~イベ前の主な収穫

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↑映画がコケてタナカスが更迭されることを祈る私です。

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突然実装された新潜水艦、伊26。どうしたタナカス?オリョクルをされるのはもはや悔しくなくなったのか?ああ~っとしかもcvは小倉唯だあ!ドロップできなかった提督達の断末魔の悲鳴が聞こえてきます…

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どのイベで入手したか覚えてない春風(たぶん春です)。かわいい…かわいくない?和服にブーツの組み合わせが性的ですね。ブーツの中に射精して春風が半泣きになることろが見たい。

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夏イベで登場の水無月。弥生や卯月と同じ制服に短パン、青髪、青目、ロリ…御無礼、数え役満です(男汁ドバー)

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夏イベの目玉だったイギリス戦艦のウォースパイト。性能はまあまあ、低速な代わりコスパの良さが武器。あと英語が流暢。アイオワの100倍くらい流暢。あとかわいい。

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2-4周回して出した浦波。見た目が地味過ぎて出た瞬間「あっなんだお前!?」(ホリトオル)って感じでした。性能も地味です。

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↑今回の秋イベも案の定クッソつまらないゴミみたいなイベントで憤怒の形相を見せる私です。

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前半戦クリア報酬のフランス産の水母です。デザインはお洒落だけど顔がね…もうちょっと顔がクッキリ濃ければよかったんですけどね。派手に染めた髪の毛に顔が負けちゃってますねえ。

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E-5でボス絶対殺すマンと化した長門。今までの長門バードン戦のゾフィーというかタイラント戦のゾフィーって感じでしたが今回はエンペラ星人戦のゾフィー並みの活躍でした。おお~やればできる!

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クリア報酬はアメリカの空母サラトガでした。あ、おい待てい(江戸っ子)!お前その乳袋は何だ?その腋は?提督のちんぽだけを殺す艦娘かよお!でも本当にエロいのは首に巻かれたスカーフです。雌を感じさせる。あとしずま艦特有の性欲めっちゃ強そうな表情がイイネ!

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E-2で掘り当てた山風。全体的にメンタル弱そうな言動が目立つ。まあ2次元美少女のメンヘラは許せるってそれ一番言われてるから。腋と袖口がエロい。成長したら鈴谷になりそう。

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今回のイベントの目玉、朝風。もう何から何まで性的過ぎてこれはいけない。エロ度でいえば春風とどっこいどっこいでしょう。髪の毛クルクルしたり懐に手を突っ込んだり袴を脱がせたりしたいですね。

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↑朝風でもう滅茶苦茶にシコっている私です。

劇場版はポアだポア!アニメのクソ脚本で叩かれまくったのにその問題の脚本家をそのまま持ってくる謎采配には流石のタナカスも苦笑い。

おわり